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経営講座の第3回目です。
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 ---------  株式会社の留意点は  -----------

新会社法では、株式会社を公開的な会社と閉鎖的な株式譲渡制限会社に区別し、それぞれの経営実態に即した異なる規律が適用されます。株式譲渡制限会社は、旧会社法の有限会社に適用されていた規律がほとんどそのまま適用されるため、取締役会の設置が任意となり、会社の機関設計の選択肢が拡大します。

(1) 株式譲渡制限会社とは?

株式を譲渡する際に、取締役会の承認を必要とする会社を株式譲渡制限会社と呼び、株式会社の99%はこの株式譲渡制限会社に分類されます。株式の譲渡制限とは、株式の譲渡そのものを制限するのではなく、株式を譲渡する相手を制限するものなので、取締役会に承認された相手にしか株を譲渡することができない会社になります。
株式譲渡会社に分類される中小企業が検討しなくてはならない重要なポイントは3つあります。

 1.取締役会を設置するかどうかが任意に選択できるようになること
 2.取締役会を設置する場合、従来の監査役に限らず会計参与の設置も選択できる
   ようになること
 3.定款によって取締役・監査役の任期を最長10年まで延長できるようになること


(2) 取締役会を設置しない株式譲渡制限会社とは?

 旧会社法においては、株式会社には一律3人以上の取締役が必要と定められていたため、実質的な経営はオーナー1人で行っているけれども、役員として形式的に親戚や家族の名前を借りているような会社も多いと思います。

そのような会社は取締役会を設置せずに、株主総会と取締役だけという機関設計に変更した方が、より会社の経営実態に即しているといえるでしょう。それに、役員として親戚や家族の名前を形式的に借りている場合、たとえ無報酬であっても役員としての責任が発生します。もしもうまくいかなくなったときには、善意で名前を貸してくれた方に迷惑をかけてしまう可能性があります。そのような事態を避けるためにも、経営者1人だけが取締役という機関設計が有効です。それに、株式譲渡制限会社については、定款によって取締役の任期を最長10年まで延長できるので、この規定を利用すれば変更登記の手間と費用を大きく節減することができます。