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経営講座の第103回目です。

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Question
取締役会への代理出席

当社の取締役1名が手術のため入院しており、月末に開催される予定の
取締役会に出席できそうにありません。そのため、この取締役から、
当社の営業部長を代理人として取締役会に出席させてはどうかと提案が
ありました。
 株主総会では代理人の出席が認められていますが、取締役会への
代理出席は認められているのでしょうか。

Answer
取締役会への代理出席は認められません。詳細は解説をご確認ください。

 取締役会は、役員が意見を交わし、営業方針など重要な経営判断を
する場です。このような場はまさに役員の腕の見せ所であり、他人に
任せることはできません。仮に、取締役会の内容が事前にすべて
わかっており、役員が自分の意見を決めていたとしても、取締役会の
場で他の役員と意見交換をすること自体に大きな意味があるのであり、
代理人として他人を出席させたのではその意味を果たせません。他の
役員の意見も聞いたうえで判断することが重要なのです。

 したがって、取締役会に出席して決議に参加できるのは、株主総会に
よって選ばれた役員だけです。株主総会に選ばれていない取締役の
代理人が出席し、本人(代理出席を頼んだ取締役)の代わりに決議に
参加することはできません。

 しかし、ご質問の場合に取締役会を開催して有効な決議を行うことが
できないわけではありません。取締役の過半数が出席し、その半数の
一致があれば法律上有効な取締役会の決議ができます。そのため、
入院されている取締役以外で過半数の出席があれば、取締役会は
適正に運営できます。
 なお、入院なさっている取締役にも出席してもらいたいということで
あれば遠隔地にいる取締役が映像と音声の送受信により相手の状態を
相互に確認しながら通話をすることができる方法、いわゆる「テレビ通話
方式」によって取締役会に出席することも可能です。
ただ、手術のために入院しているといった状況ですので、この方法は
難しいと思われます。

 上記のとおり、入院なさっている取締役を除いても有効な取締役会
決議は可能ですので、今回の取締役会への出席は控えていただくと
いうのが、選択肢としては現実的ではないでしょうか。