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経営講座の第109回目です。
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Question
身元保証契約と民法改正
当社では、新しく採用する従業員に対し「身元保証人」を求めて
います。これは、その従業員がどんな働きぶりをするかわから
ないことから、万が一会社に損害を与えた場合に備えて要求
しています。また、身元保証人になってくれるような人物がいる
ということは、採用するにあたり安心できるポイントのひとつで
すし、従業員本人の熱心さにも関係していると思っています。
この度、身元保証に関するルールが変わったと聞いたのですが
どのような変更なのでしょうか。
Answer
民法の改正により、保証全般に関わるルールが変更されました。
この影響が身元保証にも及ぶことになります。
(1)身元保証とは
貴社のように、新規採用の際に身元保証人を求めるという運用
は多くの企業でみられます。これは、法的には会社と身元保証人
との「(身元)保証契約」ということになります。
保証しているのは、「従業員本人が会社に何らかの損害を与え
た場合のその損害」というのが一般的です。
(2)根保証契約
このような保証の中身が明確に特定されていない(つまり、大きく
広がる可能性がある)保証契約を「根保証契約」と呼びます。
根保証契約では、保証人が予想外に大きな(多額の)負担を
負うことになる可能性があり、今回の改正によって限度額を定め
ることが必要となりました。この限度額のことを「極度額」といい
ます。今までは、貸金の返済を根保証する際は「極度額を定め
なければ根保証契約は無効となる」というルールがあった
のですが、改正によって根保証契約全般にこのルールが適用
されることになります。
※一部適用されない根保証契約もあります。
(3)極度額の定め方
では、身元保証の場合の極度額はいくらにすればいいのでしょう
か。極度額の決め方や上限について直接の規制はありません。
当事者(身元保証の場合は会社と身元保証人)問で話し合い、
合意のうえで決めます。合意に至らなければ、先ほどのように
身元保証契約そのものが無効となってしまいます。そうはいって
も、会社から先にある程度の額を提示しなければまとまらないで
しょうから、例えば、入社後の職務内容、ご本人の経験や能力
等から、「ご本人の月給の○カ月分」のように計算して提示する
方法が考えられます。このエ程は今までになく、かつ難航も予想
されるため、身元保証を求める目的によっては「合意できなけれ
ば身元保証契約を結ばない」という選択も考えられるところです。 |
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