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経営講座の第110回目です。
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Question
年次有給休暇と時間外労働

当社では年次有給休暇を半日単位で取得することを認めており、昼休憩
をはさんで、午前(午前9時〜午後1時)と午後(午後2時〜午後6時)の
いずれかで取得することができます。
このたび、午前に半日単位の年次有給休暇を取得した従業員が、急な
顧客対応で午後7時まで勤務しました。
午後6時から午後7時までの勤務に対し、割増賃金を支払う必要は
ありますか。

Answer
原則として、時間外労働割増賃金の支払いは不要です。
解説をご確認ください。

 労働基準法において、1日の法定労働時間は8時間と定められてい
ます。
時間外労働の割増賃金は、法定労働時間を超えた労働に対して支払
わなければならないものですが、「法定労働時間を超えた労働」か
どうかは1日の実労働時間で判定します。そのため、1日の実労働時間が
法定労働時間を超えないときは、時間外労働割増賃金の支払いは不要
です。

 ご質問のケースで確認すると、実労働時間は午後2時から午後7暗まで
の5時間です。
午後6時から午後7時までの勤務は通常の勤務時間(所定労働時間)を
超えた労働ではありますがが、実労働時間として8時間をこえていない
ため、「法定労働時間を超えた労働」とはなりません。
 したがって、所定労働時間を超えて勤務した1時間について、労働基準
法上の時間外労働割増賃金を支払う必要はないということになります。
ただし、この1時間について、割増部分のない「通常の時間単価分」の
支払いは必要です。

法律上は上記のような考え方で問題ありませんが、就業規則の規定に
より割増賃金の支払いが必要な場合もあります。
就業規則において、「所定労働時間を超えた労働に対して割増賃金を
支払う」と規定している場合です。この場合は、就業規則で定めている
とおり、所定労働時間を超えた労働に対して割増賃金を支払う必要が
あります。

ご質問のケースでは時間外労働割増賃金の支払いは不要と考えられ
ます。しかし、念のため、割増賃金について貴社の就業規則がどのよう
に定めているかをご確認ください。