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経営講座の第121回目です。
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Question
男性の育児休業取得

当社では、より働きやすい環境づくりを目指して、育児休業の取得を
積極的に推奨しよう としています。最近は若い社員も増えてきており、
育児休業への意識も高まってきているようです。 そのような中で、奥様
が妊娠した従業員がいると報告を受けました。男性の育児休業取得も
推進していきたいので、個別に声を掛けようと思うのですが、男性従業
員が育児休業を取得した際に適用できる助成金があると聞きました。
どのようなものなのか、内容を教え てください。

Answer
「両立支援等助成金出生時両立支援コース」という助成金に該当する
可能性があります。 詳細は解説をご確認ください。

●解説
(1)概要
両立支援等助成金は、従業員が仕事と家庭を両立できるような取り
組みを行う会社に対する助成です。基本的には、育児・介護と仕事と
の両立支援が対象となっています。
両立支援等助成金はいくつかのコースに分かれています。そのうち、
出生時両立支援コースは、子どもが生まれた際(出生時)の男性の
育児参加促進を目的としたコースです。ご質問にある男性の育児休業
取得もこのコースに含まれるほか、育児目的休暇制度を導入して取得
するといったものもあります。今回は、前者を解説します。
(2)男性の育児休業取得
男性労働者が育児休業を取得した際の助成金は、会社が男性労働者
が育児休業を取得しやすい職場風土作りのための取組みを行い、実
際に男性労働者が育児休業を取得した場合に支給されるものです。
「男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りのための
取組み」なので、育児休業を取得する可能性がある男性労働者に個別
に働きかけるというものではありません。全社的な取り組みが必要です。
ただし、個別的に男性労働者を支援した場合には助成金額が加算され
るため、次ページで内容を解説します。
(3)基本的な取り組み内容
助成金の受給のためには、次のすべての項目に取り組まなければなり
ません。
1育児介護休業法を順守した育児休業と育児短時間勤務制度を就業
規則等に規定していること
2男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りの取組みを行っ
ていること
3男性労働者が育児介護休業法上の育児休業を取得すること
4一般事業主行動計画の策定・周知・届出を行っていること
ポイントとなる2と3について、さらに詳しく解説します。
(4)職場風土作りの取組み
職場風土作りの内容に明確な指定はありませんが、例としては次の
ようなものが挙げられています。
・男性労働者の育児休業に関する管理職や労働者向け研修の実施
・男性労働者向けの育児休業を促進するための資料配布等
・育児休業を取得した男性労働者の事例収集(体験談など)及び社内
周知
この中で、最も多く実施されているものは「男性労働者向けの育児休業
を促進するための資料配布」です。どのような資料を配布するかについ
ても、厚生労働省が参考資料 を発表しているため、非常に取り組み
やすくなっています。
注意点として、職場風土作りの取組みは「男性労働者が育児休業を
開始する前」に行 う必要があります。会社が職場風土作りに取り組んだ
ことによって、男性労働者が育児 休業を取得したという流れが重要です。
(5)男性労働者の育児休業取得 男性労働者が取得する育児休業にも
いくつか条件があります。
・子どもが生まれてから8週間以内に育児休業を開始すること
・連続した5日以上(中小企業以外は14日以上)の育児休業を取得する
こと
・この育児休業中の4日以上(中小企業以外は9日以上)が所定労働日
であること
これらの条件をすべてクリアした育児休業を取得しなければなりません。
(6)支給額の加算(個別支援加算)
基本的な支給額は、57万円(中小企業以外は28.5万円)です。対象の男性
従業員に対して、次の取組みをすべて実施した場合の加算(中小企業に
対しては原則5万円)が あります。
1育児介護休業法21条に基づき、育児休業に関連する制度(休業中及び
休業後の 待遇や労働条件、関連する休職その他両立支援制度に関
する事項)に関する 事項を、対象男性労働者に個別に知らせること
2対象男性労働者に対し、育児休業取得を促すための個別面談(明示)
の実施
3対象男性労働者の直接の上司に対し、対象男性労働者に育児休業
取得を 促している旨の説明
4上司に対し、対象男性労働者との個別面談で説明した際の書面等の
明示
なお、助成金は毎年4月に制度の変更が行われます。上記は今年度の
情報であり、取り組みの際には最新の情報を得ることが重要です。