個人情報保護方針


 

経営講座の第137回目です。
                            経営講座バックナンバー
Question
契約の終了

●質問
当社は機械に使う部品の製造を主な事業としています。取引先はある
程度固定されていて、どこも長い付き合いのところばかりです。当社の
技術力や対応の柔軟性を評価してくれており、ありがたいことなのです
が、売上が取引先数社に大きく依存していることに不安もあります。
特に、取引が打ち切られると経営に大きな影響が出てしまいます。
契約書を取り交わしていない取引先もあるのですが、法律上、どういった
場合に取り引きがなくなるのか教えてください。

Answer
取引の終了は、法律的には契約の終了とほぼ同義であり、法律上
一定のルールがあります。

●解説
ご質問の場合、貴社と取引先との関係は、法律的には売買や請負と
いった「契約」として把握されます。ただ、長く取り引きしているケース
では、単発の契約が繰り返されている場合と、継続的な契約が大元
にありそれに基づいて毎回の個別契約が結ばれている場合の 大き
く2つのパターンに分かれます。
前者の場合、一回一回の契約がその都度終了していきます。例えば、
製造した部品を取引先に引き渡し、検収と代金支払いが完了すれば
契約も終了するというイメージです。したがって、その後も取り引きが
続くかは、新たな契約が結ばれるかどうかにかかっています。 言い
換えれば、取引先からの発注次第ということです。一方、後者の場合、
毎回の取引が終わっても、大元の契約(基本契約)は終了しません。
そのため、基本契約に発注の期間や タイミング等が定められていれば
、それに沿って取り引きが継続することになります。もっとも、その場合
でも、発注は取引先が自由に行える契約内容となっていることもあります。
そうなると、基本契約は継続していても、個別の取引が行われないという
事態も考えられます。 また、仮に定期的に発注することが契約内容と
なっていたとしても、その契約が解除されることもあり得ます。解除され
れば契約がなくなってしまうため、取引も終了します。どういった場合に
解除されるかは、契約書があればその記載に従うことが基本です。
契約書がない場合でも、法律上解除が認められる場合があり、典型例
は、当事者のどちらかに義務違反があった場合です。例えば、納期まで
に製品の引き渡しができなかったケースなどが該当します。ただし、取引
関係が長く続いており、その取引先に依存している場合などは、契約
違反があっても解除が認められない場合もあります。
取引が終了するか否かは、その取引に関係する契約内容に大きく左右
されます。契約の存続条件を取引先に確認することが、まずは望ましい
行動といえるでしょう。契約解消の懸念がある場合や取引先への確認が
難しい場合などは、弁護士に相談することも一案です。