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経営講座の第153回目です。
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労働時間の上限規制(労働基準法の改正)

労働基準法は、従業員を雇用する際の様々なルールを決めた法律
です。この法律に定められたルールは雇用における最低基準であり、
必ず守らなければなりません。労働基準法が定めるルールの中には、
従業員が働くことのできる最長の時間についての決まりがあります。
この最長時間は「法定労働時間」と呼ばれており、原則として、1日8時間
・1週間40時間とされています。もっとも、これは原則であり、例外的に
この時間数を超えることも許容されています。その1つの例が、従業員
の代表と「36協定」と呼ばれる書面を結び、労働基準監督署に提出する
手続きです。この手続きを行うことで、1日8時間1週間40時間を超えて
働くことが可能となります。なお、法定労働時間を超えて働いた時間の
ことを「時間外労働」と呼びます。
※36協定には、従業員の代表と取り決めた、1日や1か月の時間外労働
の時間数、時間外労働を行う理由などを記載します。
※時間外労働のほかに、「休日労働」と呼ばれるものもあります。これは
、法定休日(原則として、1週間に1日あるいは4週間を通じて4日の休日
のこと)に行う労働のことを指します。
時間外労働や休日労働は、36協定の手続きを行なったとしても無制限
ではありません。次のような上限 が決められており、2019年の4月から
適用されています。
1 時間外労働は、原則、1か月45時間・1年360時間(例外あり)
2 時間外労働と休日労働の合計は1か月100時間未満
3 時間外労働と休日労働の合計は2〜6か月いずれの平均も80時間以内
4 時間外労働は年間720時間以内
5 月45時間を超える時間外労働が行えるのは1年間に6か月まで、この
上限は絶対的なものであり、従業員の実際の労働時間がこれを遵守した
内容となるように調整しなければなりません。
ドライバーの労働時間規制
業種や業務の内容によってはこの上限を守ることが難しいものがあり、
上限の適用が猶予されていました。そして、その中には「自動車運転の
業務」が含まれており、2019年4月から5年間の猶予期間がありました。
この猶予期間が2024年3月31日で終了し、労働時間の上限規制が
ドライバーにも適用されることとなります。なお、「自動車運転の業務」
とは「自動車の運転に主として従事する者」と定義されています。
もっとも、先の表の1〜5 すべての適用が開始されるわけではありません
適用が開始されるのは 1と4だけで、他については適用を継続して検討
することとなっています。しかも、4については年間960時間と、より緩
やかな内容に修正されて適用が開始されます。
ドライバーに適用される労働時間の上限規制を整理すると次のように
なります。
1 時間外労働は、原則、1か月45時間・1年 360時間 (例外あり)2024年
4月1日から適用開始
2 時間外労働と休日労働の合計は1か月100時間未満
3 時間外労働と休日労働の合計は2〜6か月いずれの平均も80時間以内
4 時間外労働は年間720時間以内
5 月45時間を超える時間外労働が行えるのは1年間に6か月まで時間外
労働は年間960時間以内 (2024年4月1日から)1の時間外労働の上限は
あくまで原則であり、特別な事情があれば超えることができます ( 超える
場合は36協定でその旨を定めておく必要があります)。そのため、「4年間
の時間外労働の上限時間」が実際には重要となってきます。年間960時間
ということは1か月平均80時間ということになります。1か月80時間の
時間外労働は、いわゆる「過労死ライン」と同じ時間数であり、その
状態が続けばドライバーの心身に支障をきたす可能性があり、事故等
のリスクも高まります。時間外労働を960時間以内に抑えることはこの
ような観点から非常に重要な一方、全日本トラック協会の資料によると
、長距離ドライバーについては50%弱の会社で年間960時間を超える
時間外労働を行なっているドラ イバーがいるとされています。