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経営講座の第156回目です。
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Question
キャリアアップ助成金

社会保険適用時処遇改善コース
この助成金は、社会保険に加入することで減少してしまう手取り額を補填
するような収入アップを会社が行った場合に支給されるものです。主に
「106万円の壁」への対応として用意されたものです。なお、キャリア
アップ助成金の1コースとして設けられているため、「キャリアアップ
計画書」の作成と労働局への提出が必要です。
助成金には、@手当等支給メニュー、A労働時間延長メニュー、
B手当等の支給と労働時間の延長両方を実施する併用メニューの3つが
用意されています。@手当等支給メニューは、従業員を社会保険に
加入させる際に、「社会保険適用促進手当(※)」を追加で支給すること
等によって収入を増加させる場合に支給されます。A労働時間延長
メニューでは、1週間の所定労働時間を延長させ社会保険に加入させる
とともに、基本給額を一定率以上増額する場合に支給されます(ただし、
延長する時間が1週間あたり4時間以上の場合、賃金アップは不要です)。
これらを段階的に両方行うのがB併用メニューです。
(※) 社会保険適用促進手当とは
短時間労働者が新たに社会保険に加入する場合に、事業主が労働者の
保険料負担を軽減するために支給 する手当です。この手当を設け支給
するかどうかは任意であり、各企業において事業主が労働者と話し合う
等によりニーズを踏まえながら決めていただくことになります。
また、新たに社会保険に加入する短時間労働者の標準報酬月額が
104,000円以下である場合の特例措置として、最大2年間、標準報酬
月額・標準賞与額の算定において当該手当の額を考慮しないことと
されています。ただし、就業規則等に当該手当の支給をする旨等の
定めが必要です。
@手当等支給メニューでは、概ね、15%以上の賃金アップが求められ
ます。これは、社会保険料の負担を補填するという趣旨から、従業員が
負担する社会保険料に相当する分の賃金アップが必要とされるからです。
手当等支給メニューは、最長で2年半のうちに、従業員1人あたり最
大50万円が支給されます。賃金アップは一時的なものでも構いませんが、
賃金アップの内容次第では50万円のうち一部しか支給されない場合が
あります。
A労働時間延長メニューでは、従業員1人あたり30万円が支給されます。
1週間の所定労働時間を4時間以上延長して社会保険に加入させた場合、
賃金の増額は不要です。これより短い時間しか延長しない場合、所定
労働時間の延長と合わせて、賃金の増額が必要です。

延長時間     必要な賃金の増額
4時間以上     なし
3時間〜4時間未満  5%以上
2時間〜3時間未満  10%以上
1時間〜2時間未満  15%以上
B併用メニューは、1年目に手当等支給メニューの条件を、2年目に労働
時間延長メニューの条件をクリアする取り組みを行った場合、従業員
1人あたり合計50万円が支給されます。
その他細かな条件は割愛しますが、この助成金はあくまでも、「今まで
社会保険に加入していなかった従業員を社会保険に加入させた場合」
のものです。実際に利用する際には、助成金の対象とする従業員に対して
、事前に社会保険の加入に関する情報を提供し十分に話し合うことが
必要でしょう。厚生労働省が出している助成金のパンフレットにも、その
旨が記載されています。また、従業員を社会保険に加入させることその
ものが会社にとってメリットとなるわけではなく、「年収の壁」を意識せ
ずに働いてもらう環境を作り、 それを労働力の充実に繋げなければ、
この助成金を利用する意味はあまりありません。自社の状況、パート
従業員の考えなどを整理した上で、利用するかどうかを検討することが
必要です。