個人情報保護方針


 

経営講座の第84回目です。

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Question
商号の保護
 当社は「○○○○」という社名です。
他の会社の社名や、商品などにこの名前を使われたくないのですが、
どうしたらよいのでしょうか。  
Answer
3つの方法が考えられます。解説をご確認ください。

会社の社名は、法的には「商号」といいます。
かつては、商法において、紛らわしい商号を排斥するため、同一市町村に
おいて他人が登記した商号について、同種の営業目的で登記することが
禁止されていました(類似商号規制)。しかし、会社法の施行時の商法
改正に伴い廃止されました。
現在、商号が保護される場合としては、次の3つが考えられます。

(1)会社法による商号の保護
 会社法では、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれ
のある名称や商号を使用することは、登記の有無にかかわらず、禁止
されています。
 この禁止に違反する名称や商号の使用によって、営業上の利益を
侵害されたり、または侵害されるおそれのある会社は、侵害の停止
または予防を請求することができます。
 また、実際に営業上の利益の侵害を受け、損害を被った場合には、損害
賠償請求をすることも可能です。ただし、請求に際しては、被った損害額を
具体的に立証することが必要となります。

(2)不正競争防止法による商号の保護
 不正競争防止法では、次の2つの行為が不正競争にあたるとして禁
止されています。
@他人の商品等表示(商号を含みます。)として需要者の間に広く認識
されているもの(周知性)と同一または類似の商品表示を使用するなど
して、他人の商品や営業と 混同を生じさせる行為
A他人の著名な商品等表示と同一または類似のものを自己の商品等
表示として使用する行為

 @では、商号の周知性が必要とされています。
 これについては、取引実態、取引慣行、宣伝活動など諸般の事情に
基づき判断されます。具体的には、ある商号が、一地方において、貴社
が営業主体であることを示す表示として広く認推されていればよいとされ
ています。
 また、Aの著名性については、通常の経済活動において、相当の注意
を払うことによりその表示の使用を避けることができる程度にその表示が
知られている必要があります。具体的には、ある商号が全国的に知られ
ているような場合が想定されています。

 不正競争防止法においても、会社法上と同様に、侵害の停止や予防の
請求、損害賠償請求をすることができるだけでなく、商号を使用された
会社の営業上の信用を回復するために必要な措置を請求することも
可能です。会社法上と比べ、損害賠償において損害額の推定規定が
あるため、より請求しやすくなっているといえます。

(1)(2)の保護を受ける上で、商号を登録するなどの手続は不要ですが、
類似する商号などが使用された場合に、それに対して何かしらの請求を
行えるという程度の消極的な保護にとどまっています。したがって、あら
かじめ、他社に類似商号を使用させないということはできないということに
なります。
また、各様請求を行うためには、一定の要件の立証が必要となるため、
必ずしも保護を受けられるわけではない点にも注意が必要です。

(3)商標法による商号の保護
 (1)(2)とは少し異なりますが、商号について、商品や役務を指定して商標
登録を行うという方法も考えられます。
 この場合、他社の社名に類似商号を使用されることを防ぐことはできま
せんが、指定した商品や役務について、商号を使用させないということは
可能となります。
商標権者に無断で登録商標を使用した者に対しては、使用の差止や損害
賠償といつた請求を行うことが可能です。

○商標登録
商標登録を受けたい場合には、下記@からBを記載した願書を、特許庁
長官に提出する必要があります。
@出願人の氏名・名称および住所・居所
A商標登録を受けようとする商標
B指定商品・役務および商品・役務の区分

Bについては、1つの出願で複数の区分にわたる商品・役務を指定する
ことができますが、その分、登録にかかる費用は増していくことになります。