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経営講座の第86回目です。

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Question
資格取得のための学習時間の扱い

当社では社員の研鑽として資格取得を奨励しています。
この度、その一環として、ある認定資格の取得を義務付け、その学習を
自宅でeラーニングを利用して行うこととしました。この場合、自宅での
学習時間は労働時間として計算し、賃金を支払わなければならないので
しょうか。
Answer
 基本的に賃金の支払いは不要と考えられます。詳細は解説をご確認
ください。

 ご質問のケースでは、義務付けられているのはあくまで資格の取得であり、
eラーニングを利用した自宅での学習まで義務付けられてはいません。その
ため、自宅での学習時間は、会社からの指揮命令を受けていない以上、
あくまでプライベートなものであり、労働時間ではないと考えられます。
したがって、それに対する賃金を支払ったり、別途手当をつける必要までは
ありません。

しかし、例えば「月に○時間以上受講すること」のようなルールを定めていて
eラーニングの受講状況を会社に報告させるような場合には、完全なプライ
ベートとはいえず、労働時間に該当する可能性があります。

 自宅での学習ですので、実際に学習していたのかどうかは自己申告のみ
では明確にはわかりません。そのため、「受講状況を会社に報告させる」と
いうだけで会社から指揮命令を受けている、すなわち労働時間であると判断
される可能性は高くはないと思われます。しかし、「○時間以上の受講」が
義務付けられていれば、そのことも考慮され、「勉強すること自体が業務命
令であり、すなわち自宅での学習は指揮命令のもとになされている」とされる
可能性が高いと考えられます。

このように判断されれば、その労働時間に対する賃金を支払ったり、別途
手当をつける等の必要があります。
また、業務命令で資格取得を義務付けている以上は、資格取得にかかる
責用(eラーニングの購入・利用料金や受験費用等)は会社が負担する必要
があると考えられます。