個人情報保護方針


 

経営講座の第94回目です。

                            経営講座バックナンバー
Question
合意管轄裁判所とは

当社が結ぶ契約書に、よく、「本契約、個別契約及びこれに関連する
一切の紛争を裁判によって解決する場合、甲および乙の合意により、
大阪地方裁判所のみを第一審の専属的合意管轄裁判所とする。」と
いう条文があります。
これはいったいどういう意味なのでしょうか。

Answer

ご質問の条項は、契約を巡ってトラブルが起きた際、どの裁判所で裁判を
するのかを決めるものです。

(1)管轄とは
 ご質問にある条文は、トラブルをどこの裁判所で解決するかを決めた
もので、「管轄」に関するものです。
 各裁判所間には事件分担の決まりがあり、訴えを起こす際にはその
決まりに従わなければなりません。この事件分担の決まりのことを「管轄
といいます。管轄のない裁判所に訴えを提起することはできません。
管轄には種類があるのですが、ご質問の条文に関係する管轄は、「土地
管轄」と呼ばれるものです。
 土地管轄とは、事件と土地との関係から、どの場所にある裁判所で
裁判をするかについての決まりです。例えば、「訴えは被告(訴えられる
側)の所在地の裁判所に管轄がある」というルールが民事訴訟法に
あります。ただし、土地管轄の決まり方は一つではないので、何か所
かの裁判所に管轄があることもあります。

(2)専属的合意管轄
 民事訴訟法の中には管轄に関する決まりが定められており、基本的
にはその定めに従います。しかし、土地管轄については、当事者の合意
で管轄を発生させることができます。
このように、当事者の合意で発生する管轄を「合意管轄」といいます。
さらに、「大阪地方裁判所のみ」のように、特定の裁判所にのみ管轄が
認められることを「専属管轄といいます。
ご質問の条文は、合意によって専属管轄を発生させているため、「専属
的合意管轄」ということになります。
 管轄については必ずしも決めなくてもかまいませんが、決めた場合は
それに従います。
特に、ご質問の場合は「専属管轄ですから、大阪地方裁判所以外に
訴えを起こすことはできなくなってしまいます。
遠くの裁判所で裁判をすることになると、弁護士選びに難航したり、移動
に労力を使ったりと不利益があります。したがって、「管轄」を契約に盛り
込む場合には、可能な限り貴社の近くにすることをおすすめいたします。