個人情報保護方針


 

経営講座の第98回目です。

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Question
通勤経路の届け出と通勤災害

通勤中に事故に遭った従業員がいます。会社へは「電車通勤」と届け出て
いたのですが、実際には自転車で通勤している途中で事故に遭ったようです。
こういった場合も労災保険の適用を受けることはできますか。

Answer
労災保険が適用される可能性があります。詳細は解説をご確認ください。

(1)通勤災害の要件
 労働者災害補償保険法(労災保険法)にいう「通勤災害」とは、以下の
経路で発生した災害のうち、合理的な経路および方法によって通勤して
いるもの(業務災害を除く)とされています。

 @住居と就業の場所との間の往復
 A就業の場所から他の就業の場所への移動
 B住居と就業の場所との間の往復に先行または後続する住居間の移動

(2)ご質問の場合
上記のように、会社へ届け出をしている経路と実際の通勤経路が一致して
いるかどうかは労災保険の適用条件ではありません。そのため、ご質問の
場合でも労災保険が適用される可能性があります。
ただし、移動の経路を逸脱し、または移動を中断した場合には、逸脱又は
中断の間及びその後の移動は「通勤」とはなりません。例えば、帰宅途中に
パチンコ店に立ち寄り、遊戯をしていたような場合は移動の中断とされます。
そのような行為ではなく、逸脱又は中断が日常生活上必要な行為であって、
やむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、逸脱
又は中断の間を除き「通勤」となります。例えば、日用品を購入するために
スーパーなどに立ち寄る場合や、病院に受診に行く場合などがこれにあた
ります。

ご質問の場合も自転車で通勤する途中で、通勤経路の逸脱や移動の中断
がなかったかどうかという点が、労災保険の適用があるかどうかの分かれ
目となります。この判断は労働基準監督署が行いますので、会社で断定
せずに監督署に相談することが求められます。