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経営講座の第172回目です。
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特許の実施について

● 質問
A氏がB社に勤務している時に、職務発明をしました。
B社の費用で特許の申請をする予定でしたが、支払いをしなかったため
特許申請は頓挫しました。
A氏はB社を退職しましたので、当社が特許申請の費用を負担し実施権を
得たいと思っています。当社はB社の権利を侵害していないでしょうか。

回答
B社の就業規則を確認する必要があります。
また、対価の交渉や特許権者 (A氏) から通常実施権者(B社)に対し
「他者に通常実施権を許諾する権利が授権されたことを証明する書面」
などを通知することとなります。
●解説
まずB社とA氏との間に職務発明に関して就業規則、労働契約等に
おいて何らかの取り決めが為されているかどうかが問題です。
原則として、従業者のなした発明に関する全ての権利(特許を受ける権利
、特許権等)は当該発明者に帰属しますが、いわゆる「職務発明」(特許法
35条)に関しては会社(使用者)は無償の通常実施権を有することに
なります。
しかし、就業規則等において職務発明の帰属等についてあらかじめ何ら
かの取り決めがあればそれに従うことになりますので、例えば発明と同時
に自動的に会社に権利譲渡するとかあるいは専用実施権を設定する
という取り決めとそれに対する対価を定めておくことも可能です(対価の
み定められていない場合は裁判手続で相当な対価を決定してもらうことも
可能)。そこで、ご質問のケースもこのような取り決めがあれば、それに
従うことになり、発明と同時に特許を受ける権利を譲渡し、あるいはB社
に専用実施権が設定されているということも考えられます。
仮に今述べたような特許を受ける権利が譲渡されていたり専用実施権が
設定されている場合には貴社が発明を実施しようとすればB社から使用
許諾を得なければならないことに なります。
他方、就業規則等において職務発明に関して何らの規定もなければ、
原則に戻って特許を受ける権利はA氏個人に帰属しますから、貴社は
A氏との契約で特許を受ける権利の譲渡を受けたり専用実施権の設定を
受けることで発明を実施することが出来ます。
但し、この場合もB社は無償の通常実施権を有しますからB社の発明
実施自体を阻止することは出来ません。