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経営講座の第115回目です。
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Question
合意管轄裁判所とは

当社が結ぽうとしている契約書に、「本契約に関運する一切の紛争を
裁判によって解決する場合、甲および乙の合意により、東京地方裁判所
のみを第一審の専属的合意管轄裁判所とする。」という条文があります。
このような条文があると、東京地方裁判所以外で裁判 ができないという
ことなのでしょうか。 なお、当社は大阪にあります。

Answer
ご理解の通り、訴えを起こすときには東京地方裁判所となります。

1.管轄とは
 ご質問にある条文は、契約に関して法的な紛争(事件)が起こった際に
どこの裁判所で審理するかを決めたものです。各裁判所間には事件
分担の決まりがあり、訴えを起こす際にはその決まりに従わなければ
なりません。管轄のない裁判所に訴えを提起することはできません。
 このように、事件を審理する裁判所に関するルールのことを「管轄」と
呼ぴます。

 ご質問の条文に関係する管轄は、「土地管轄」と呼ばれ、裁判所の
場所に関するル一ルです。平たく言えぱ、各地にある裁判所のどこに訴えを提起するのかを決めるためのルールということです。
「土地管轄」について、民事訴訟法という法律で決められている最も
基本的なル一ルは、「被告(訴えられる側)の所在地の裁判所に管轄が
ある」というものです。例えぱ、実際はもう少し細分化されていますが、
「大阪に住んでいる人を訴える場合は大阪地方裁判所に訴える」といっ
たものです。ただ、「土地管轄」の決まり方は一つではないので、何か
所かの裁判所に管轄があることもあります。

2.専属的合意管轄
 また、「土地管轄」については、法律の決まりのほか、当事者の合意
で管轄を発生させることができます。このように、当事者の合意で発生
する管轄を「合意管轄」といいます。さらに、「東京地方裁判所のみ」の
ように、特定の裁判所にのみ管轄が認められることを「専属管轄」と
いいます。
 ご質問の条文は、合意によって専属管轄を発生させているため、
「専属的合意管轄」ということになります。このように、ご質問の場合は
「専属管轄」ですから、東京地方裁判所以外に訴えを起こすことは
できなくなってしまいます。
 自社から地理的に離れた裁判所で裁判をするメリツトは基本的に
ありません。例えぱ、先の民事訴訟法上のル一ルにするなど、検討が
必要かと存じます。